<対抗ゼミを振り返って>          

 

文責:兼松、矢野、和田

 

※本番で使用したスライドに関しましてはページの一番下に添付してあります。

  興味がある方はご覧いただければ幸いです。

 

本年の対抗ゼミの課題はずばり「新しい働き方」。社会に出てもいない私達にはとうていその知識もなかったため、まずはその知識のインプットから始まった。横国側も首都大側も共通の課題図書としてリンダグラットンの著書「未来企業」と「ワークシフト」が与えられ、その中から今後50年後の社会の変革や働き方の変化の在り方を学んだ。その後、私達チーム低身長は11月の対抗ゼミ本番に向けての主に夏休み期間中の8月から9月にかけてはテーマ設定を行った。そして、10月以降から本格的な研究をスタートさせ11月に行われた本番に臨んだ。それでは、以下からテーマ設定段階、準備段階、発表段階の3つに分けて対抗ゼミに関する振り返りと反省をしていくこととする。

 

 

 〇テーマ設定段階

 

 私たちは、新しい働き方という言葉を字義どおりに理解し、今ある働き方のほかに新しい働き方の形態はないかと模索した。そこで、今ある主な働き方を「組織に属する働き方(専業一社制)」と「組織に属さない働き方(独立)」とした。しかし、この両極端の働き方だけではなく、この間には副業というものが存在しているのではないかという疑問から、新しい働き方=副業というテーマのもと研究を進めることとした。

 

以下から、テーマ設定段階における反省点とそれに対する改善策を述べていきたいと思う。

 

 

 

 テーマ設定段階において挙げられる反省内容としては

 

①結論先行型のテーマ設定をしてしまった

 

②働く=社会人という決めつけをしてしまった

 

と大きく2つのものがあげられる。

 

 

①結論先行型のテーマ設定をしてしまった

 

 研究発表の肝ともなるテーマ設定だが、私たちはなかなかアイデアが思いつかなかった。そのため、対抗ゼミの準備として7月に行った合同ゼミの中で取り扱った課題図書、「未来企業」と「ワークシフト」の中から私たちが想像する新しい働き方とは何かというテーマ設定の方法をとることとした。この方法で考えてしまったため、新しい働き方とは副業であり、副業は実はとてもよい働き方であるという結論から先に考える帰納的な研究手順となってしまった。

 

研究テーマを考える中で、まずは身の回りの疑問からそれに対する答えを探すという手順をとる必要があった。

 

 

②働く=社会人という決めつけをしてしまった

 

 私たちは「働き方」という課題に対して、ひとくくりに社会人のみという発想だけにとどまってしまった。首都大チームはアルバイトなど身の回りのいわゆる“あるある”をテーマとして取り上げていたため、研究自体のテーマ性といった部分で自分たちのチームよりも上にあったような気がした。また、私たちは社会人になっていないため社会人の現状を把握していないがために、リアルとは乖離した研究になってしまった部分があった。そのため、身の回りの疑問を素直に研究テーマに落とし込む必要があった。

 

研究テーマを設定する段階で、安易に自分の領域外のテーマにするのではなくもっと自身に近いテーマにした方が良かった。

 

 

 私達は、新しい働き方という漠然とした課題に対してテーマ設定段階で非常に苦労をした。しかし、今振り返ってみるともう少し慎重にテーマ設定をしてもよかったのかと思う。新しいとは何なのか、働くとは何なのかを考えたとき、上述したように「未来企業」や「ワークシフト」から得られた知識を活用して、そこで思考を停止させてしまった。チーム高身長のように新しいということを逆説的にとらえた「転勤」というテーマや、首都大チームの働き方をアルバイトとしてとらえるテーマなど、まだまだテーマ設定の幅には可能性があったようにも思える。しかし、このテーマが果たして実現性があるものかを検証するために、実際に副業をされている方にインタビューしたという点に関しては良かったといえる。自分がまだよくわからないテーマだからこそ、本で調べることや人に聞くということは、当たり前のことではあるが、研究を進める上で非常に大切なことであると本研究を通して感じられた。

 

 

 〇準備段階

 

 副業をテーマにしたものの、私たちの副業に関する知識は乏しいものであった。そのため、インタビューをはじめとする実地的な研究を中心として行った。その際に、インタビュー、アンケート、ノンパラメトリック分析、記述統計を活用した。それぞれについて詳しく見ていく。インタビューは現在、実際に副業を行っているYahoo!JAPAN人事の杉浦二郎氏に話を伺った。その後、現在副業をしている社会人を対象にWebアンケートを実施した。しかし、日本で現在副業を認めている企業は全体の約3.8%と、副業をしている社会人という母集団がそもそも小さいものであった。そのため、今回の分析には、ノンパラメトリック分析を使用した。これは、通常のパラメトリック分析とは異なり、小さい母集団からでも統計的に有意な相関を見出す分析手法である。加えて、本研究には先行分析がなく、レアケースを焦点にあてているため、記述統計によるデータの分析も行った。

 

 

 

 

 そのような準備段階において、以下の三つの反省点が挙げられた。

 

①非効率な時間の使い方

 

②プレゼン準備の不足

 

③アンケート項目の過不足

 

 

 

①非効率な時間の使い方

 

約一か月という短期間の中、チームメンバー全員で集まれる機会は貴重である。しかし、その中で、誰かが手持ち無沙汰になる時間の頻度が高かった。

 

他にも、作業の優先順位の決定が甘かった。SPSSを使用した分析は学校でしかできないにもかかわらず、学校のPCでなくてもできる作業を行い、結果として予定よりも作業が長引いてしまった。

 

時間を効率的に使うためには、個人で作業できることと話し合わなければならないことをしっかりと区別すること、個人での作業は期日までに確実に終えてくることの二つが必要である。

 

 

②プレゼン準備の不足

 

 これは上記の非効率的な時間の使い方が原因である。私たちのパワーポイントは、文字量を少なく、視覚的にわかりやすいものを意識したので、発表方法に関してもしっかり準備する必要があった。しかし、私たちのチームは当日の朝まで最終的な準備に追われていた。そのため、発表練習をすることがほとんどできなかった。

 

①の解消により、解決すると考える。

 

 

③アンケート項目の過不足

 

 アンケート対象の母体が小さいことから、相関の出ないことを危惧しすぎてしまったように思う。アンケート項目の中に結果として、分析に使用しなかったものがあった。また逆に、分析を進めていく中で、アンケート項目の不足も見受けられた。これに関しては、分析をするイメージをつけないままにアンケート作成を行ってしまったからによるものであると考えられる。

 

テーマ設定の段階で全体の流れをより詳細に把握し、過不足なくデータを集められるようにする必要があった。

 

 

 私たちは、限られた時間の中で、最大限のパフォーマンスをするためには、作業の全体像を把握し、必要なもののタイミングを判断することが必要であるということが本研究を通してわかった。

 

 

 ○発表段階

 

 発表段階の課題としては、以下のようなことがあげられる。

 

①発表練習の不足

 

②資料準備の不足

 

③知識共有の甘さ

 

 

 ①発表練習の不足

 

 パワーポイントをうまく使いながら話せなかった。また、本番中の話すスピード、声の音量が聞き取りやすさを意識できていなかった。

 

本番と同じように、聴衆役を作って反応を見ながら練習する。本番に緊張しすぎない工夫をする。場数を踏む。うまい発表・プレゼンテーションを見て、研究する。

 

 

②資料準備の不足

 

 今回、パワーポイントの準備を偏った分担で行ってしまった。作るのがうまい人に集中して仕事分担をしてしまった。そのため、一人の負担も重く、全員でうまく資料の内容を共有できなかった。

 

全員のパワーポイント作成レベルを底上げする。(アニメーション技術など)先輩方など既存の研究成果を参考にし、「見やすいパワーポイント」とはどのようなものか考え、作れるようにする。そのうえで、各自の作ったものに対し、客観的な視点から改善点を出し合う。

 

 

③知識共有の甘さ

 

 前提知識(統計、分析方法)の共有が甘かった。このため、質問が来た時に回答できる人が限られてしまい、十分な回答ができなかった。

 

メンバー内での報告を密にする。新たに得た知識があったら、逐一報告しあい、常に同じレベルの知識共有をしたい。その間で、不明点があったらお互いに解決しあい、疑問を残すメンバーがいないようにする。

 

 

 

 今回、対抗ゼミの結果は喜べるものではなかった。力を入れていたため、本当に悔しかった。しかし、ここからが勝負である。どこがいけなかったのか、どこが改善できるのか、を考え、今後の活動に生かしたい。

 

最後に、このように多くの方の意見をいただける機会を与えていただいたことに心から感謝したい。

 

 

 

 


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副業による能力の分配
対抗ゼミの本番で使ったプレゼン資料です。興味のある方はご覧ください。
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